ご夫婦で納得した不妊治療を
日本不妊カウンセリング学会認定
体外受精コーディネーター 福田貴美子
日本では、ご夫婦の10組に1組は不妊症であると言われています。この数を多いととらえるか少ないととらえるかは人によってさまざまであると思いますが、いずれにせよ日本は結婚すれば子どもを産むのがあたりまえという社会通念のもとに置かれ不妊である方が周囲からプレッシャーを受けているのは事実だと思います。
近年の体外受精や顕微授精などの高度生殖医療の飛躍的な進歩は、不妊の悩みを解決して行くかのように、多くの方に子供を授けるための援助をしてきました。しかし、進んだ医療技術を用いてもすべての方が子供を授かり、不妊の悩みが解決されるわけではありません。不妊治療の特徴は、着床という医学的には未解明な現象に向かって治療を続け、その選択を夫婦にゆだねるというところにあります。
現在、不妊治療の現場では一人でも多くの不妊症に悩む方を救うための模索が続いており、技術の高度化と治療方法の多様化の波が押し寄せています。その中で難しくはありますが不妊治療についてご夫婦で理解し納得した選択をしてゆくことが大変重要になってきます。
わが国では不妊治療は、技術の向上に重点が置かれ、不妊症である方の自己決定の支援や心のケアに対するサポートは遅れてきました。日本の医療体制を示すよく知られている言葉に“3分診療”という言葉があります。不妊治療の現場も当然この体制では皆様のニーズに答えるどころか、不安を取り除くことさえもできないと思います。私は、体外受精コーディネーターとして日々不妊治療を受ける方々にお会いし、直接話しを聞き、保険の効かない高額な医療費や治療にかかる長い年月、その間に受ける心身へのストレスや子どもをもてないことに対する周囲からの抑圧など、不妊症であることの苦悩の現実を耳にします。高度で多様化しているにもかかわらず成功が確実に保証されない不妊治療の過程では様々な心の葛藤が生じてくると思います。だからこそご夫婦で納得した不妊治療を受けて欲しいと思います。
福田貴美子(ふくだきみこ)
1991年山口県立衛生看護学院助産師科卒業。同年山口県済生会下関病院周産期母子センター勤務。1995年より現職、看護師長・体外受精コーディネータとして蔵本ウイメンズクリニックに勤務。1996年米国 ミルウォーキーAdvanced Institute of Fertilityにて研修。1996‐1997年九州大学教育学部心理学科科目等履修生。2001年北九州大学外国語学部第二部 英米学科卒業。2003年日本看護協会認定看護師教育課程不妊看護分野修了。
1999年日本生殖医療研究協会体外受精コーディネーター第1号認定。
2002年日本不妊カウンセリング学会 会長