聞きたいこと、聞けない訳
不妊相談を通して

日本不妊カウンセリング学会認定 不妊カウンセラー 
浜崎京子

「あのお、不妊で病院に行ったんですけど薬を出されたんです。早く妊娠したいならこれを飲んでって言われて」
「はい」
「でもこれ何の薬なんですか?」
「えっ何も聞いていないの?」
「そうなんです。生理が来たら5日目から飲むように言われただけで」
「そうですか。看護師さんから何か説明がなかったですか?」
「受付で渡されただけで・・」
これはある時の電話相談の会話です。

 今日、不妊治療に対しては少子化問題ともあいまって、社会の関心度も高まってきていると考えられます。今年度からは不妊治療に対して公的な経済的援助も開始されました。不妊治療の技術の発達も著しく、今まで妊娠が不可能だった人々にも朗報を与えることにもなりました。しかしその反面、治療の選択や継続などで不妊の人々の苦悩を増加させたとも言えます。
そんな中で治療だけではなく精神的ケアの大切さも叫ばれるようになり、「不妊カウンセリング」という分野が注目を集めてきています。
 さて実際の不妊治療の現場はどうなのでしょうか?専門のクリニックや不妊外来はおおくの人々であふれており、長い待ち時間を経ても診察時間はほんの2?3分の場合もあるでしょう。そんな中で自分の治療を理解し納得すると言うことは、なかなか困難なことかもしれません。
 「えっ。今言われたことが判らないからもう一度言って」「このくすりはなぜ飲むの?飲まないといけないの?」次々と様々な不安や疑問が出てくると思います。本当はすぐにその場で確認をすることができるといいのですが、それが実際にはなかなかできないのです。
 実は電話相談の大半は治療中の病院できちんと聞くことができれば、かける必要のないものが多いのです。
「先生や看護師さんに聞かなかったの?」と問うと、様々な理由で聞けないと言う答えが返ってきます。なぜなのでしょう。そしてそれを解決するためにはどうしたら良いのでしょうか。本日はご一緒に考えてみたいと思います。



浜崎京子(はまざききょうこ):中央クリニック副院長・看護師長・不妊カウンセラー
日本生殖医療研究協会認定不妊カウンセラー第1号
日本不妊カウンセリング学会理事・日本不妊看護学会理事
産業カウンセラー